国語の教科書に載っている作品よりも面白い話が教室内には散らばっている

ブログネタ:国語の教科書に出てたちょっと好きな話

ミッキー
国語の教科書って結構ちゃんと読みたくなるような話が載ってたりするよな
ミニー
あらそう。残念だったわね
ミッキー
え?何で?悪い意味で言ったんじゃないぞ
ミニー
あらそう。でもどうせならちゃんと本屋や図書館で出会いたかったのに、教科書でちょっとずつ読み進める形で出会ってしまって残念じゃないの。しかも物語の一部しか載っていない作品も多いわよ
ミッキー
ああ、そういう意味か。でも教科書に載ってなかったらたぶん出会う事すら無かったんじゃないかな。だからそういう出会いも仕方が無いと思うぞ
ミニー
うるさいわね。どんな出会いでも全く親しくなれずに必ず喧嘩をするオスのカブトムシみたいな女で悪かったわね。って、どうして私がオスなのかしら、失礼な
ミッキー
突然何を言ってるんだ!僕は何も言ってないぞ!オスがどうこうじゃなくてカブトムシになってるのを怒った方が良いと思うぞ。って、それも自分で言い出した事だけどな……
ミニー
何をごにょごにょせっかくスズムシを飼い始めたのに全く鳴かずに、夜中に飼育箱からカタカタカサカサと不気味な生活音が聞こえてきて全く眠れなくなってしまった男のようにつぶやいているのかしら、気持ち悪いわね。そこまで言うなら気に入った話でも話してちょうだい
ミッキー
え?僕の?えーと、そうだなぁ……今年習ったばかりの作品になっちゃうけど……何か詩人になるために官職を退いて地方に引っ込むけど上手くいかなかった男の話、みたいなのが印象に残ってるな
ミニー
あらそう。今年習ったわりにはずいぶんおぼろげな伝え方をするわね。あなたも全く文才が無い事に気付いて発狂して虎になってしまえば良いんじゃないかしら
ミッキー
うっ、そこまで言わなくても……そ、そういえば最後は虎になっちゃうんだったっけ。何で虎になるんだ?
ミニー
まぁ、結局何も覚えていないじゃないの。ところどころ記憶が抜け落ちてしまっているんじゃないでしょうね。元々は唐の時代の【人虎伝】という話が題材になっているのよ。オリジナルは女性とのデートを邪魔された腹いせに殺人を犯してしまった報いで虎になってしまう男の話よ。でも国語の授業で習った作品はオリジナルとは少し違うわね。文才が無い事に気付くのが怖くて現実から目を背け続けて、一方ではとてもプライドが高くて自らの才能を過信して、自分を磨かなかったために失敗するのよ。最終的にはその現実を直視する事に耐えられずに発狂して虎になってしまうわ。人は誰でも猛獣のような性質を持っていて、それを自ら操れなくなったのが虎になった原因、という意味なんじゃないかしらね。結局は長い年月ずっと自分と真剣に向き合わなかった結果、自分をコントロールする事すら出来なくなった、みたいな教訓になっているんだと思うわ
ミッキー
なるほど、言われて内容を思い出したぞ。聞いてたらもう一度読み返したくなってきたな。何て作品名だったっけ?
ミニー
あら、そのものズバリ【ミッキーさん】という題名よ。名前が題名になるなんて大名誉な事じゃないかしら。作家は日本人だけれど、内容は中国の話だからレ点を使って【さんミッキー】だったかもしれないわね
ミッキー
こら!どうして僕の名前が作品名になるんだ!そんなタイトルだったら覚えてるに決まってるだろ!
ミニー
うるさいわね。冗談に決まってるじゃないの。【山月記】だったかもしれない、って言ったの。人間社会から離れて山と月ばかり見て生活しているとキーッと発狂してしまうから注意しろというお話ね
ミッキー
いや、さっきまで話してた内容とちょっと変わっちゃってるじゃないか。まぁとにかくお前のおかげで内容は思い出したぞ。ちなみにお前も何か好きだった話ってあるか?
ミニー
さぁ、どうかしらね。今年の現国の授業で扱った話は全て悪くなかったと思うわ
ミッキー
へー、他にはどんな話があったっけ?聞けば思い出すかもしれない
ミニー
そうね。どうしようもなく世話の焼けるクラスメイトがいて、たまに教科書を忘れた時に見せてあげたり、授業中に居眠りしているのを起こさないようにシャーペンで突いたり腕に落書きをしたり、それ以外にも明らかに集中していない様子の時は要点をノートにまとめておいてあげたり、現国の授業で特に好きだったのはそんな女生徒の幸せな日常を描いた話かしら
ミッキー
そんな作品あったっけ……

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公認会話士

電子作家の公認会話士です。 2015年4月、アメブロとFC2から引っ越してきました。 気楽に楽しめる作品をビシバシ更新していくつもりなので、気が向いたらいつでもお立ち寄りください。

View Comments

  • 会話士さん以外の小説はあまり読まないですが、教科書の本読みでは、よく授業中に手を挙げてました。    最近、実用書をよく読みます。「車の整備」「家庭の医学」「通販のカタログ」・・・。

    • 「あらそう。音読が得意だったのかしらね。私だったら強要されても全て黙読してしまうかもしれないわね。実用書は便利だけれど、専門家が読んでいたら逆に信用がなくなってしまうカンジかしら。医学書を片手に手術とかをされたら何だか恐ろしいものね」

  • 天狗になるなとか 初心を忘れるな でもプライドは持てって 見習い時代 そう教えてくれた 大工さんがいます つまりは 今日ブログに書かれてる事みたいに そう思った時点で 成長が止まるって その大工さんは 教えてくれたんだと思います……すみません
    教科書の話しは 二つあって(タイトル、作者は覚えていないけど)貧乏な学生みたいな人が 江戸前?的な寿司屋で トリ貝の寿司を 一貫だけ 毎週食べに行く話しで なんかトリ貝の寿司が すごく美味しそうでした
    もう一つは お父さんと汽車に乗っていて 息子さんが 歯に何か詰まったのが痛くて我慢しきれず それを見かねた お父さんが 自分の大事にしていた 扇子を割いて 爪楊枝にして 詰まったものを取ってくれたんだけど 息子さんが どうしてもう少し 我慢できなかったんだろうって
    息子さんの気持ちも共感出来たし 大事な扇子を割いた お父さんの気持ちも わかるし とても印象深い 話しでした
    この二つは 今でも 時々思い出したりするくらいです

    公認会話士さんは そういうのありますか?

    • 「あらそう。トリ貝の話は分からないけれど、もう一つは【蘭】とかいう話かしらね。あまり語らないのが日本人の美徳というカンジかしら。それで大失敗に終わる事ももちろん多いけれどね。あら、書き留めている人はどうかしらね。あまり自分ではやらない短歌とかが心に残っているのかもしれないわね」

  • 太宰治の作品で、死に瀕した妹の日記に男性との交際のことが書かれていたが、実はそれは妹の作り話だった、という話です。タイトルはちょっと覚えてません。なんか印象に残ってるんですよね。

    • 「あらそう。葉桜と魔笛とかいう話だったかしらね。教科書の作品というのはどういう基準で選ばれるのかしら。まさか私達の会話は選ばれないでしょうけれどね」

    • 「あらそう。探せば結構いるものなのかしらね。もしや私も誰かから面白いと思われてしまっているのかしら。面白い目に遭わせるしかないかもしれないわね」