電車に乗り、西日が射し込むドアに寄りかかり、そっと右手を見る。
笑顔になってしまわないように気をつけながら。
親指の付け根に、あと少しで血が出そうなくらいに深い爪痕がある。
ミニーがついさっきまで傍にいた痕跡。
何よりの証拠。
僕が気を失っている間、ずっと力いっぱい手を握ってくれていたに違いない。
今までのどの爪痕よりも痛くて、その本気の痛さが嬉しい。
待ち合わせ場所に到着すると、ミニーはベンチに座っていた。
僕と目が合うと、手に持っていたペットボトルのスポーツドリンクを飲んだ。
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