【無料小説】 そして欠片は花弁のように 恋愛小説

【無料恋愛小説】そして欠片は花弁のように⑦ミッキー

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ミッキー
……うーん、いっ。うーん……
ハイジ
むっ、目を覚ましたかも?
ミッキー
うーん、ん?ハイジ?えーと、ここは?

周囲を見回すと、僕は縁側で仰向けに寝そべっているようだった。
そんな僕をハイジが覗き込んでいる。
ミッキー
えーと、何がどうなってるんだっけ……?
ハイジ
んー?熱中で庭症で倒れがミッキーていたんだよ。だから引き上げが私して、飲ませを水したりしたのかも。違なのかも?そうかも
ミッキー
単語が入れ替わってて理解するのが面倒だぞ!とにかく熱中症で倒れてたところを看病してくれたわけだな?
ハイジ
そうかもそうかも。そうに違いないのかも。それだけ理解出来ればきっと頭を打たずに倒れたんだよ。という超高度な安否確認に打って出た次第かも
ミッキー
ああ、なるほど、実はちゃんと意味があったわけだな。全く。逆に僕が自分で狂ったと勘違いしちゃってたらどうするんだ。まぁとにかくありがとうな。で、ミニーはどこにいるんだ?
ハイジ
んー?ミニーは最初からいないんだよ。という事になっているのが自然な流れとして伝聞されているのかも。テレたテレーはテレポートしてきっといつもの場所にいるかもしれないんだよ
ミッキー
名前を間違えるな名前を!まぁ良いや、かなり遅くなったみたいだけど、今から待ち合わせ場所に行ってくる
ハイジ
むむむっ、どうしてそうなるのかしっかり説明してくれないとガクガクブルブルなんだよ。テレーのテレビ的な大演出で奇天烈な罰を与えられてしまうかも?
ミッキー
いや、待ち合わせをしてるから行くだけだぞ。大丈夫だよ、お前がバラしたとか、そういう事は言わないから
ハイジ
んー?何だか分からないけどそれなら一安心なんだよ。では行ってらっしゃいかも。ぴゅぴゅぴゅっ!

何とも隠し事が下手なヤツである。
まぁでもハイジが何を言おうが、どれだけ上手に誤魔化そうが、ミニーも僕を看病してくれていたのは疑いようのない事実だ。
きっと照れ隠しのためにハイジに口止めをしたのだろう。
今頃はきっと、何食わぬ顔でいつもの待ち合わせ場所で待ってくれているはずだ。

電車に乗り、西日が射し込むドアに寄りかかり、そっと右手を見る。
笑顔になってしまわないように気をつけながら。
親指の付け根に、あと少しで血が出そうなくらいに深い爪痕がある。
ミニーがついさっきまで傍にいた痕跡。
何よりの証拠。
僕が気を失っている間、ずっと力いっぱい手を握ってくれていたに違いない。
今までのどの爪痕よりも痛くて、その本気の痛さが嬉しい。

待ち合わせ場所に到着すると、ミニーはベンチに座っていた。
僕と目が合うと、手に持っていたペットボトルのスポーツドリンクを飲んだ。

ミッキー
ごめん。待ったか?昨日は待ってるって言ったのにこんなに遅くなっちゃって……
ミニー
そうね。どういう理由で遅くなったのかさっぱり分からないけれど、もう待ちくたびれたわ。もう来そうにないからちょうどこれだけ飲んで帰るところだったのよ
ミッキー
そっか、じゃぁギリギリ間に合ったわけだな。今日中に会えて良かったよ。ありがとう
ミニー
……何かしら、突然。感謝されるような事は何一つしていないわよ
ミッキー
実はさっきまで熱中症で倒れて寝込んでてさ。ハイジが看病してくれたみたいなんだけど、たぶん一番傍にいて欲しい人も傍にいてくれたんじゃないかな、と思って……だから、ありがとう
ミニー
……何が言いたいのかさっぱり分からないわ。ひょっとして私とハイジを間違えるほどまだ意識が朦朧としているんじゃないでしょうね。それにしてもハイジが一番傍にいて欲しい人だったなんて初めて知ったわ
ミッキー
いや、そうじゃなくて。何でもってわけじゃないけど、僕にもミニーの事がお見通しな時があるんだよ
ミニー
あらそう。仕方ないわね。そう思いたいなら好きにさせておくしかないものね。ただ今日はもう帰った方が良いんじゃないかしら。目の前で倒れられたらひとたまりもないもの。それに私は看病の仕方なんて全く知らないのよ
ミッキー
そ、そうか……まぁ迷惑を掛けるわけにもいかないよな。もっとずっと一緒にいたいけど……

ミッキー
それと……
ミニー
それと……
ミッキー
え、何だ?先に言って良いぞ
ミニー
いえ、あなたから先に言ってちょうだい
ミッキー
そうか?じゃぁちょっと明日の事で言っておきたいんだけど、明日は僕の家に来てくれないか?
ミニー
……あら、何をするつもりなのかしら?明日も庭で倒れるから今度こそ看病して欲しいとか言うんじゃないでしょうね
ミッキー
いや、そんな事言わないよ。ちょっと見せたいものがあるんだ
ミニー
あらそう。ごめんなさい
ミッキー
えっ!?何か予定があるのか?
ミニー
違うわよ。ごめんなさい、って言ったの
ミッキー
いや、違わないじゃないか
ミニー
違うわよ。明日の事ではなくて、今までの色んな事に対してごめんなさい、って言ったの
ミッキー
なるほど。うーん……でも謝られるような事は何もしてないしされてないぞ
ミニー
うるさいわね。私が謝ると言えばあなたは謝られる以外に選択肢なんて無いのよ
ミッキー
じゃぁ言葉だけ受け取っておくよ。言っておくけどミニーは何も悪くないからな。謝るのは僕の方だ。ホントにごめ……
ミニー
ちょっと、辞めてちょうだい。昨日聞いたからもう聞きたくないわ。私が謝るなと言えばあなたは謝罪の意思なんて持ってはいけないのよ
ミッキー
ううっ、そんな事を言われても……じゃぁとにかく明日、待ってるよ
ミニー
分かったわ。じゃぁ帰るわね
ミッキー
あれ?さっき何か言いかけてなかったか?
ミニー
さぁ、何の事かしら。じゃぁ帰るわね
ミッキー
あ、ちょっと!じゃ、じゃぁ、また明日な!

何となくぎこちなさは残るものの、今までのような会話が出来てホッとした。
明日の記念日の約束をする事も出来た。
ミニーを喜ばせる事が出来るだろうか。
楽しみだ。

続く

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