ブログネタ:ホワイトデー、期待する?
ミッキー
なぁ、ちょっと良いか?
ミニー
引っぱたくわよ
ミッキー
何でだよ!まだ何も言ってないぞ!
ミニー
うるさいわね。【ちょっと良いか】などと軽いニュアンスで言いながらしっかり私の耳も意識も時間も拘束するつもりじゃないの。だからせめて身体くらいは私の自由に動かせないと【ちょっと】という言葉が成立しないんじゃないかしら。要するに話を聞きさえすれば、私は踊っていようが棒高跳びをしていようがあなたを引っぱたいていようが問題ないというわけね。でも踊る場所もしなやかに曲がる棒も無いから、あなたを引っぱたくしか選択出来ない状態にされてしまっているのよ。ただ理不尽に叩こうとしていると思うなんて失礼な
ミッキー
な、なるほど、そういう意味か。って、僕はそんなに深く考えて言ってるわけじゃないんだけどな……じゃぁ言い方を変えて、しっかり聞いて欲しいんだけど良いかな
ミニー
引っぱたくわよ
ミッキー
だから何でだよ!話が合わないぞ!
ミニー
うるさいわね。【しっかり聞く】という事は、私の時間も行動も何もかも拘束する宣言をしたようなものじゃないの。だから私がどんな行動をしても、今からあなたの話が済むまでは私のする事にあなたは責任を持たなければならないのよ。それくらいの覚悟が無いととてもしっかり聞かせる事なんて出来ないんじゃないかしら
ミッキー
うーん、何だかよく分からないけど妙に説得力はある気がする。と、とにかくホントに叩きたいならもう仕方ない。僕はどうしても言いたい事があるんだしな
ミニー
あらそう。あなたは私が理不尽で暴力的な悪者になっても構わないという考えなのね。どうしてそんな人間性だと思われているのかしら、失礼な
ミッキー
ちょ、ちょっと待った!僕は誰よりも優しいと思ってるぞ!実際に叩いた事だって一度も無いし、いつもちゃんと会話をしてくれるじゃないか
ミニー
うるさいわね。そんな風に甘い言葉で私をコーティングして中の毒を見えないようにしようとしてもそうはいかないわよ。あなたの傍にいたらすぐに溶けてしま……って、何を言わせるのかしら、みっともない
ミッキー
ううっ、僕と一緒にいるのはそんなに甘くてとろけるような時間だと思ってくれてるのか……僕は幸せ者だな
ミニー
あら、甘い言葉を残さず味わい尽くしてしまったのね。もう二度と手に入らないかもしれないのに思い切った事をするわね。それで結局何の話なのかしら
ミッキー
え、えーと、バレンタインのお返しをしようと思って……でもお前はお菓子は喜ばないだろうから、手紙を書いてきたんだ。だから聞いててくれ……オホン。大好きなミニーへ、いつもいつも僕と一緒に時間を過ごしてくれてあり……
ミニー
ちょっと、わざわざ音読なんてしなくて良いからこっちに渡してちょうだい。誰かに聞かれるかもしれないじゃないの。何を考えているのかしら。みっともないわね
ミッキー
うっ、ご、ごめん。確かに聞かれたとしたら恥ずかしいか
ミニー
違うわよ。勿体無いわね、って言ったの。あなたの想いは私だけのものだから他の誰にも聞かせたりしないわよ。って、何を言わせるのかしら。とにかくそのホワイトデーに相応しい白紙の手紙を渡してちょうだい
ミッキー
ちょ、ちょっと待った。白紙ってどういう事だ?僕との付き合いを終わりにするつもりじゃないだろうな!?
ミニー
うるさいわね。どうせこれは昨日の夜にでも書いたんでしょう?
ミッキー
うん、そうだぞ。何か問題あったか?ホワイトデーの手紙だからちゃんと今日書かないとダメとか?
ミニー
ええ、その方が良いわね。というよりわざわざ書いたりせずに、何か私に言いたい事があるなら、その想っている事をその都度聞かせてくれれば良いのよ。これはあくまで昨日までのあなたの想いだもの。今日のあなたは私を殴り飛ばしたいと思っているかもしれないわ
ミッキー
そんなわけないだろ!全く。まぁでも確かに毎日毎日想いはどんどん強くなるからな。事前に準備した過去の言葉は白紙同然って事か。って、おい、手紙に価値が無いような事を言ったわりにしっかりカバンに入れてるじゃないか
ミニー
ええ、そうね。私は興味は無いけれど、昨日までの私なら昨日までのあなたの言葉に興味を持つかもしれないわ。今日の私ではなくて昨日までの私がしている事だから気にしないでちょうだい
ミッキー
どういう世界観なんだそれは……要するに昨日のお前と今日のお前はまだほとんど同じって事なんじゃないのか?全く素直じゃないんだからな
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