関係性が悪化した時に距離を置くとそのまま終わってしまうかもしれない？

さぁ、どうかしらね。長く一緒にいるからこそ見えなくなっている部分があるんじゃないかしら。自分の気持ちだって持て余している人ばかりなのに、他人の気持ちなんてたかだか数年で理解出来るはずが無いのよ

ええ、そうね。相手がいかにもカツカレーを食べそうな顔をしていたから自分は気を利かせてハンバーグカレーを注文したのに、相手がなんとチーズカレーを注文したようなものね。まさかカレーでとろけるチーズが好きだとは誰も思わないけれど、実際にはそういう人だったのよ。そういうショックが蓄積するんじゃないかしら

そうね。例えばお笑いコンビの場合、いつもいつも一人で笑いを取っている人が相方に気を使って面白い話題を振ったら、相方は振った話と全然違う話を披露して笑いを取ってしまったようなものね。まさかマトリョーシュカの発音が変なだけであんなに笑いを取れる相方だなんて思いもしなかったのよ。またマトリョーシュカの最後の２つくらいの大きさがどうも微妙に小さくなり過ぎている気がして腹が立ってきてしまうのね

そうね。でもちょっとケンカし始めだからこそ意固地になってしまって、素直に話し合いを申し出るのが難しくなってしまっているという状況があるんじゃないかしら。ちょっと餅を上手に引っくり返せていなかった部分が完全に臼にこびりついてしまっているけれど、嬉々として杵を振るっている相手を止めるにはもう殴るしかないと決意した人が、突然殴りかかったようなものよ。結局は杵で思い切り殴られてしまって頭から餅の中に突っ込んでしまうの。でも機転を利かせれば、突っ込んだ拍子にこびりついた部分を食べてしまえるかもしれないわ

どうかしらね。そのまま二度と会わなくなってしまうかもしれないわよ。両親が離婚する事になって離れ離れになった兄弟が、いつか大きく成長して二人とも政治家を目指す事になるのよ。どちらも白熱した選挙戦を展開している途中で、弟は対立候補が生き別れになった兄だと気付くの。そして選挙の日、弟は兄の名前を書いて投票するのよ。見事兄は１万票の差をつけて当選するわ。結局弟の一票は大した効果がなかった、これだけ両者の距離が開いてしまうともう浪花節は通用しない、という関東北部に伝わるブラックジョークよ

あら、そうやって私に対して怒りを募らせているのね。私だって全然話を真面目に聞いてくれなくてショックを受けているというのに

まぁ、どれだけ上手にツッコむのか、というお笑いコンビのボケのような気持ちで楽しみにしていたのに。全く理解されていなかったのね。もう距離を置こうかしら

違うわよ。今日利口そうかしら、って言ったの。私のめくるめく例え話は知性を感じずにはいれなかったんじゃないかしら？

まぁ、失礼な。誰が重度のバカなのよ

違うわよ。それが重要なだけなのよ、って言ったの。あなた以外の人がどう思うかなんて別に気にしないわよ