ブログネタ:カラスの死骸って見たことないよね……
ミッキー
今朝はちょっと珍しいものを見たぞ
ミニー
あらそう。残念だったわね
ミッキー
いや、残念かどうか分からないけど、道端でカラスが死んでたんだ。鳥が死んでるのってほとんど見かけないから驚いたぞ
ミニー
あらそう。残念だったわね
ミッキー
いや、まぁ確かにカラスにとっては残念だろうけど、どうして僕が残念なんだ?何か縁起が悪かったりするのか?
ミニー
あらそう。残念だったわね
ミッキー
こら!質問の答えになってないぞ!ちゃんと会話して欲しいぞ!
ミニー
うるさいわね。あなたの声に驚いてカラスが空中で気絶したらどうするつもりなのかしら、腹立たしいわね
ミッキー
いや、何が残念なのか分からないからつい……一体どういう意味なんだ?
ミニー
しつこいわね。珍しい光景なんてそうそう見れるものではないのに、その中の一つをもう体験してしまって残念じゃないの。今後は鳥が死んでいても驚かない人間になってしまったんじゃないかしら。人間はそうして初体験と珍しさをすり減らして死に向かっていくんでしょうね。残念だったわね
ミッキー
なるほど、そういう意味か……まぁ確かに初体験は一度しかないけど、珍しい光景だったらたぶんまた驚くんじゃないか?
ミニー
あらそう。あなたがまともな事を言った今の珍しい状況に私が驚いている、という話をしているのね。だったらそれは確かに正解なんじゃないかしら、良かったわね
ミッキー
どうして僕がほとんどまともな事を言わない認識になってるんだ……全く。少なくとも驚かれるような頻度ではないはずだぞ
ミニー
うるさいわね。冗談に決まってるじゃないの。私が冗談を言うなんて驚かせてしまったでしょうね
ミッキー
いや、結構言ってると思うぞ。まぁ冗談なんて言いそうにないから毎回冗談だと気付けないけどな
ミニー
あらそう。そんなはずがないと思っていると、そうではない事態が発生していても中々気付けないものなんでしょうね。そういう点では今までのあなたは鳥なんて死ぬはずがないと思っていたんじゃないかしら。それなのにカラスが死んでいると認識したという事は、そのカラスは100%以上の死の状態にあったのかもしれないわね。死の世界を更に超えたとんでもない死の世界に飛んで行っている最中だったんじゃないかしら
ミッキー
どういう話なんだそれは……そんなの認識しようがないと思うぞ
ミニー
あら、そうかしら。人は必ず死ぬのに、今は生きているじゃないの。生まれた瞬間が0で死ぬ瞬間が100だとすると、0ではない私達はもう既に何割か死んでいるとも捉えられるわね。確実に何割かが死んでいるのに、その死を見る事が出来ないというパラドックスを……
ミッキー
ちょ、ちょっと待った!話が難し過ぎるぞ!カラスが死んでたって言ってるだけだぞ!
ミニー
うるさいわね。そう簡単に話題が死ぬと思ったら大間違いよ。とにかく人間には見る事が出来ない何かがこの世には確実に存在しているのよ。カラスだってもしかしたら死んでいる以外の何かをしている状態だったのかもしれないわ
ミッキー
僕にはそこまでの想像力が無いから何とも言えないけど……と、とにかく僕のお前に対する想いが何割とかって事はありえないぞ。100%だからな
ミニー
あらそう。死ぬ瞬間を迎えてしまったのね。二度と私に近寄らないでちょうだい
ミッキー
全く素直じゃない!
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