「おじさん」や「おばさん」と呼ばれた相手が何歳でも失礼にならない理由とは

そうね。少なくとも高校生っぽくは見えないわ。自分では見失っている特徴というのを他人が発見してくれる事もたまにはあるはずよ。そういう時は他人がどう思っているのかを知るチャンスだと思って真摯に受け止めた方が良いわよ

あら、誰もそんな事は言ってないじゃないの。勝手に人の話を曲解しないでちょうだい。そういう凝り固まった考え方をしていると私からの評価もおじさんになってしまうかもしれないわよ

あまり聞かない方が身のためだと思うけれど、あえて自分の欠点を知っておくというのは後の人生のためになるかもしれないわね。分かったわ。あなたはとても高校生とは思えないくらい、ありとあらゆる能力が欠如しているわよ

うるさいわね。すぐに声を荒げて私を恫喝するし、私の意見にすぐ反論しようとするわ。私の優しさにもいつも全く気付かないし、私の思っている事も常に察する事が出来ないじゃないの。いつもいつも噛み砕いて表現するのがとても苦労するのよ。まぁ、誰の言葉が唾液まみれで汚いと言うのかしら。親鳥と雛鳥の心温まる食べ物の受け渡し精神が分からないのかしら

あら、誰もそんな事は言ってないじゃないの。勝手に人の話を曲解しないでちょうだいと言ったのが聞こえなかったのかしら？たった一つの結論に辿りつくには、他の全ての可能性を吟味して消去していかなければならないのよ。そんな事では常に真実から外れた情報ばかりを頭に詰め込んでしまって、全く無駄な時間を過ごした事を後悔するような展開になってしまうわよ。餌となる虫が少なくて苦労している親鳥が、生まれたばかりの雛を一度巣の下に落として森の養分にしてしまって、次の卵が孵る時には森が少しは豊かになっている、という逆転の発想よ。一見残酷な話だけれど、種の保存のためには犠牲になる命があるのかもしれないわ。あなたもこのままじゃ落とされる方の雛鳥になってしまうわよ

言わなくてもそれくらい分かるじゃないの。高校生には見えない１５歳よ。完全に道を踏み外してしまった無能で無気力で無鉄砲な１５歳に見えるわ

あら、誰も高校に行っていない人を蔑むような事は言ってないじゃないの。勝手に人の話を曲解しないでちょうだい。一人に言っている言葉をあたかも全体に対して言っているように捉える自己防衛の精神は自身の成長の妨げになるのよ。少し小さな兄弟に餌を譲っているうちに、身体の大きさで追い抜かれてしまって、その兄弟から巣の下に蹴り落とされてしまうようなものよ

そうね。子供があなたをおじさんと呼んだのは失礼にならないためよ

そうかしら。でもその子にとって１００％に限りなく近い確率であなたは家族ではないわけでしょう？それで【お兄さん】とか【お父さん】と呼んであなたがショック死したらどうするのよ。だからひょっとしたらありえるかもしれない【おじさん】と呼んだんじゃないかしら

うるさいわね。正直に言うとあなたはもう立派なおじさんなのよ。将来確実に外見的にも存在的にもおじさんになると思うわ。だから今からもう先取りしておじさんと呼んだって構わないじゃないの