ブログネタ:お互いの頭をぶつけた拍子に魂が入れ替わるような話
ハイジ
ぴゅぴゅぴゅっ!どーん!
ミッキー
痛てー!何だ何だ突然!
ハイジ
んー?
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ミッキー
うわっ!
ミニー
………………
ミッキー
痛ててててて。あー、痛かった。いきなり振り向いたおかげでぶつかっちゃったけど、それで僕が謝ると思ったら大間違いだぞ。これで全ての記憶が飛んだりしたらどうしてくれるんだ全く。まず真っ先にミニーの事を忘れるのはもう避けられない情勢だろうな。って、あれ?
ミニー
まぁ、ついに本性を現したわね。忘れたいなら早く忘れたら良いじゃないの。何を考えているのかしら、失礼な。もしかして今ぶつかったのも、あわよくば私を殺害しようという意図があったんじゃないかしら。二度と私に近寄らないでちょうだい
ミッキー
それだけ舌が滑らかなクセに被害を訴えても信憑性が無いから辞めた方が良いぞ。例えば人気のレストランで人気のメニューと全く違うコースを注文したものの、シェフが勝手に注文していない料理を提供してきたので【こんなものは頼んでないから下げてくれ】とクレームをつけたら【サービス品だから無料なんですが、いらないなら仕方が無いですね】などと言って下げられてしまって、料理は凄く美味しかったのに何だか物凄く損をした気持ちになったようなものだ。って、あ、あれ?
ミニー
まぁ、例えと言いたい事が全く違うじゃないの。何を考えているのかしら。顔も人生も全く整っていないんだからせめて言いたい事くらいは整理してから話してちょうだい
ミッキー
うるさいな。引っぱたくぞ。って、あれ?僕はさっきから一体何を……
ミニー
何をごにょごにょ腹話術師としてついに初舞台を踏んだものの、緊張で全く上手くいかずにただ人形を持って漫談をしただけになってしまって落ち込んでいたら、【人形を持っていた意味は全く分からないが話はとても面白かった】と評判になってしまって、いつの間にか世界初の【人形つき漫談師】というわけの分からない職業になってしまった男のようにつぶやいているのかしら、気持ち悪いわね。それはそうと、あなたは先程私とぶつかった時に頭をぶつけたんじゃないかしら?
ミッキー
うん、そうだな。あれだけぶつかればもう【頭】って漢字のへんとつくりが入れ替わって【頁豆】みたいな漢字になってもおかしくないくらいだと思うぞ。【のう】が揺れて残像のようになって【めふ】と読んじゃっても誰にも責められないんじゃないかな。って、僕は何を言ってるんだ……?
ミニー
……にわかには信じられない話だけれど、どうやら私とぶつかった時に誰かの思考回路が脳に入り込んだんじゃないかしら。発言の内容を考慮すると、ほとんど人間とは思えない悪魔のような存在でしょうね。それとも本物の悪魔かしら。まともな人間はこんなに捻くれた事なんて言ったりしないはずだもの
ミッキー
おい、誰が悪魔を奉るために作られた真っ黒なしめ縄みたいな存在なんだ、失礼な。とにもかくにもどうやったら治るんだろうな?
ミニー
さぁ、どうかしらね。気を失うほど頭を打ち付けようとすれば、その直前に悪魔が恐れをなして逃げ出すかもしれないわよ。もしくは私ともう一度ぶつかればこちらに移動してくるかもしれないわね。悪魔としても余程しっくりくるはずだもの。って、誰が汚いものに対してだけ抜群の吸収力を発揮する黒い雑巾みたいな女なのかしら、失礼な
ミッキー
うるさいな。誰よりも不幸な人生を送ってきた事をアピールすれば同情されると思ったら大間違いだぞ。例えば闇金融に不法な取立てをされていて家族もバラバラになってしまった男をニュースで取り上げたところ、全国から励ましの手紙が届いて、テレビ局が男に届けたところ【そんなものはいらないから金を寄越せ金を。テレビを観て良い人ぶっている馬鹿どもめ】と大騒ぎを始めてしまって、しっかりその場面もニュースで放送された結果、今度は闇金業者に励ましの手紙が届いてしまったようなもの……痛たっ!おい、人が話してる最中に突然……
ミニー
………………
ミッキー
うーん、どうかな。治ったかな?何だかちょっと脳と気持ちがすっきり、っていうかしっくりきてるカンジだぞ。慣れ親しんだ身体って感覚だな
ミニー
あらそう。治って良かったわね。あなたの身に何かあったら私なんて生きていけないもの。まぁ……
ミッキー
ええっ?ちょ、ちょっと本気で言ってくれたのか?まさかそんなにストレートに言ってくれるなんて感激だ……
ミニー
あらそう。私なんかの言葉で感激してくれるなんてこっちが感激よ。あなたが幸せなら他に何もいらないもの。まぁ……どうしてこんな事を……
ミッキー
うううっ、凄く嬉しいぞ。感激で泣いちゃいそうだ。って、おい、大丈夫か?
ミニー
あら、どうして突然心配されているのかしら?わけが分からないわよ
ミッキー
いや、普段はほとんど無表情なのに、何かちょっと腑に落ちない様子に見えたからさ。口調は普段と一緒だけど、言ってくれる内容が凄くストレートというか素直というか、まるで僕がお前に対する想いを言っている時みたいな気もするし……って、もしかして……
ミニー
あら、今度は私があなたみたいに思った事を何でも口にする人になってしまったと言いたいのかしら。にわかには信じ難い話ね
ミッキー
うーん、確かにそうなんだけど、でも普段なら絶対に言ってくれないような、僕の事がどれくらい好きなのかって質問にも今なら答えてくれそうな雰囲気だし……
ミニー
あら、そんなの答えようがないわよ
ミッキー
あれ、そこは言ってくれないのか……って、もしかしてもう元に戻ったのかな
ミニー
治ったかどうかは分からないけれど、この世に存在する言葉で言い表せるようならもうとっくに言っているわよ。好きとか何とか、言葉にした途端にその言葉が持つ枠にはまってしまうもの。私の想いを全て受け止める事が出来る言葉なんて一つも存在しないわ。まぁ……
ミッキー
うううっ、まさかそこまで想ってくれてるなんて……でもいち早く元に戻りたそうな表情に見えるな。えーと、じゃぁもう一回ぶつかってみるか……?
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ハイジ
……という夢を観たんだよ。だから面白そうだからミッキーとぶつかってみたのかも!そうなのかも?違うかも
ミッキー
何と見事な一人芝居を長々と……って、夢の中の僕はずいぶん嬉しい事を言ってもらったみたいだな。でもどうやら今は入れ替わったりしなかったみたいだぞ
ハイジ
むむむ、もしかして入れ替わり用のミッキーの意識がどこかに行ってしまっているのかも?早く取り戻してきてくれないと面白くないんだよ
ミッキー
いや、僕の意識の他に、誰かを僕みたいにするための意識が存在するって決まってるわけじゃないしな……夢と現実がごちゃごちゃになってるぞ。って、ちょうどミニーも来たな。おーい、ハイジが妙な夢をみたらしいぞ
ミニー
あらそう。とても楽しそうね。二人の話はいつもとても楽しいからワクワクしてしまうのよ。一体どんな夢を観たのかしら?
ミッキー
………………
ハイジ
………………
ミニー
あら、何かしら。私が登場した途端に盛り下がるなんて、いくらなんでも酷いんじゃないかしら
ミッキー
おい、ハイジ、何かこれって……
ハイジ
むむむ、ミッキーっぽいんだよ。巻き込まれたくないからここは退散かも!二人で知恵や頭を寄せ合って解決してくれたまえなんだよ!ぴゅぴゅぴゅっ!
ミッキー
あっ!こら!お前実は全然僕達にみたいになりたくないんじゃないか!全く……な、なぁ、ちょっと、本気で言ってたのか?
ミニー
あら、冗談に決まってるじゃないの。まさに夢の話よ
ミッキー
そ、そっか。まぁそうだよな。何だかんだでハイジが一番驚いてたみたいだからな
ミニー
違うわよ。正夢の話よ、って言ったの。あなたのために正夢にしてあげたのよ
ミッキー
え?僕のため?ハイジのために盛り上げて演出してくれたんじゃないのか?たぶんハイジは信じたと思うぞ
ミニー
あらそう。あなたは信じないのね。せっかく私の本心がたくさん聞けたのに、ただの夢にしてしまって良いのかしら