ブログネタ:金返せ!!って思ったことある?
ミッキー
今日はどの店で食べようか
ミニー
さぁ、どうかしらね。何か食べたいものがあるなら好きに行けば良いじゃないの。私は特に希望は無いわ
ミッキー
そっか。じゃぁ実は行ってみたい店があるんだけど……でもお前と一緒じゃちょっとダメだな
ミニー
……まぁ、私ではドレスコードとかお店のコンセプトに合わないと言いたいのかしら、失礼な。そのわりにはあなただってスーツではないし、どちらかと言うと私よりもラフな格好をしているじゃないの。確かに私が店にいると何かの呪いの材料集めをしているのかと思われるかもしれないけれど、だからと言ってたった一人だけを外見だけで入店拒否にしたりするのは店として正しい形なのかしら。恐らく明日から毎日呪いの葉書か何かが差出人不明で届くようになるでしょうね
ミッキー
誰が送るのか何となく分かった気がするけど……じゃなくて、お前が外見を理由に入店拒否なんてされるわけないじゃないか。僕が気にしてるのはそんな理由じゃなくて……
ミニー
あらそう。という事は私のような貧乏人にはとても手の届かないお店に行こうとしているのね。あなたと私の家は生活水準があまり変わらないと思っていたけれど、ずいぶんと羽振りが良くなったのね。宝くじにでも当たったのかもしれないけれど、突然金持ち面をして私に格差を見せ付けるというのは一体どんな人間性なのかしら。大金を手にした幸運と引き換えにとんでもない不幸に見舞われるかもしれないわね。偶然を装った事故として処理されるかもしれないから注意しておいた方が良いわよ
ミッキー
誰が真犯人なのか分かった気がするけど……っていうか、もしそんな大金があったらお前と一緒に使うに決まってるだろ!僕が気にしてるのは……
ミニー
あらそう。という事は女性が入ってはいけないいかがわしいお店に行こうとしているのね。いくら私が節度と限度をわきまえた付き合い方をしているからって、まさかそんなに欲求不満になっていたとは思わなかったわ。私は私らしくあなたと付き合う事しか出来ないけれど、彼女が冷たい場合はいくらでも浮気をしても構わないというのがあなたのあなたらしさなのね。バレなければ何をしても構わないなどと思っていると、いつか大切な誰かを立ち直れなくなるほど傷付ける恐れがあるわよ。あなたみたいな人は四六時中どこかから何者かに監視され続けるかもしれないから注意してちょうだい
ミッキー
バレなければストーキングをしても構わない、って言ってるように聞こえるんだけど……って、僕は何もお前に対して不満なんて無いぞ!お前が嫌がるような店になんて僕自身が興味無いしな。頼むからちょっと話を聞いてくれ。僕が言いたいのは……
ミニー
うるさいわね。要するにどこのお店だろうと私と一緒では全く楽しくないと言いたいんでしょう?とても雰囲気の良い楽しいお店でも私がいるだけで水を打ったように張り詰めた空気になってしまっているに違いないわ。リモコンの消音ボタンみたいな女で悪かったわね。いっその事、消音どころかテレビごと消してしまおうかしら。二度と私に近寄らないでちょうだい
ミッキー
誰もそんな事言ってないだろ!フライドポテトが無い店、って言おうと思ってただけだぞ!
ミニー
あら、どういう事かしら?
ミッキー
いや、そのままの意味だけど……トンカツが美味しいって評判の店があるんだけど、どうやらフライドポテトを売ってないらしいんだ。だからお前と一緒に行くわけにもいかないな、と思って……
ミニー
あらそう。確かにフライドポテトを注文してもフライドポークと聞き間違いされるのが関の山でしょうね。そしてテーブルに運ばれてしまったが最後、しっかりとお金を支払わなければならないわ。聞き間違えたのが悪いのか、メニューに無い料理を注文するのが悪いのか、揚げ足を取ったり取られたり、水と油の戦いに火を注いでしまうような激論の末に私は胃の中と気力と財布の中身を空にされた状態で追い出されてしまうのよ。その間あなたは知らんぷりで二人分のトンカツを食べるに違いないわ。という事はあなたにお金を返してもらえば良いのかしら?今すぐに返してちょうだい、失礼な
ミッキー
こら!まだ店にも行ってないのに考え過ぎだぞ!
ミニー
うるさいわね。結局私は店の外で待っていれば良いのかしら?食事も水も人の温もりも与えられずに寒風の中で凍え死んでしまうんじゃないかしら。人の死で笑いを取ろうとする恐ろしい価値観のマスコミに【婚活に命を懸ける女、トンカツに命を奪われる】などと誰も笑わないようなくだらない冗談で記事にされてしまうのよ
ミッキー
それは確かにくだらないな……って、婚活なんてしてないじゃないか。お前はする必要も無いし……
ミニー
……うるさいわね。さっさと行くのか行かないのか決めてちょうだい。私はどこでも良いわよ
ミッキー
あんまりどこでも良いって雰囲気とは思えなかったけど……確かその店はテイクアウトが出来たはずだから、いつか買って帰って家で食べる事にするよ。その場で食べる方が美味しいだろうけどさ。だからトンカツの店は辞めて、いつものようにファストフードに行こう
ミニー
あらそう。せっかくどこの店にするのかという話題になったからには、今日は間を取って私が勧めるトンカツの店に行くのが得策じゃないかしら。毎日トンカツの練習をしているから美味しいに違いないわ
ミッキー
ふーん、トンカツの店なのにまだトンカツの練習をしてるのか?大丈夫なのかその店は。お前が勧めるって事はフライドポテトがあるんだろうけど、それも珍しいしな
ミニー
違うわよ。毎日婚活の練習をしている、って言ったの……って、何度も妙な事を言わせないでちょうだい、みっともないわね。とにかくあなたの好物くらい簡単に作れるから今日はうちで食べれば良いのよ
ミッキー
あ、そういう意味か。って、えっ!?お前が僕にトンカツを作ってくれるのか?それなら有名店よりも食べたいぞ!
ミニー
……何をそんなに興奮しているのか分からないけれど、まだ練習中だからあなたが行こうと思っていたお店と同じ値段で良いわよ
ミッキー
えっ!?お金を取るのか?しかも強気の値段だな……まぁお前の手料理が食べられるならそれでも良いけど……
ミニー
あらそう。ではそのお金でトンカツを買ってから帰りましょう。あなたの好物くらい簡単に揚げたてにしてあげるわよ
ミッキー
完成品を家で揚げ直すだけじゃないか!
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