乗りに乗っていても流行に乗ったり波に乗ったりするのは難しいもの？

何よ、突然。気持ち悪いわね。それより私の話を聞いてちょうだい。昨日は最近評判と言われている洋服屋へ行ってみたのよ。特に私は服を購入する事に対しては興味は無いけれど、母がどうしても行きたいというから一緒に行ってみたわ。それはそれは若い女性達がたくさん並んでいて、店舗の下の行列スペースは何だか薄暗くなっていたわ。でも目を凝らしてよく見ると、既に全員似たような格好をしているのよ。それなのに更に同じような服を買いにきているなんて面白いわね。全員がいらない服を交換すれば何もかも解決するんじゃないかと思ったけれど、店舗の明かりが当たらない薄暗い場所の彼女達はそれには気付かないんでしょうね。そうして昨日【灯台下暗し】という言葉が世の中に生まれたのよ

うるさいわね。それより私の話を聞いてちょうだい。行列を作っていた彼女達だけれど、皆何だかぼんやりとはっきりしない色の服を着ているのよ。本人達は薄暗い光の中で気付かないのかもしれないけれど、私にははっきりと認識する事が出来たわ。でもいざそんな古着の交換会が始まってしまうと、全身黒づくめの私は煙たがられて邪魔者扱いになるでしょうね。一人で５階建ての店舗の最上階辺りで悠々買い物をするハメになると思うわ。そうして昨日【煙は高いところに昇る】という事が科学的に証明されたのよ

ちょっと、私は別に【バカ】とは言ってないわよ。どうして私がバカになってしまうのかしら、失礼な。あくまで煙が高いところへ昇ると言っているのよ。流行についてこれないからって人を中傷するのは辞めてちょうだい

あらそう。冗談よ。こうして煙がバカバカしい話をするから【バカと煙は高いところに昇る】と言われているのよ。そして不思議な話に巻き込まれたあなたは【煙に巻かれた】状態になってしまったわけね。そして私の事を【煙たがる】のはお見通しよ、失礼な

あらそう。という事は私が流行に乗れているのかどうか、いつもいつも手を伸ばせば触れられる位置で見ているクセに全く気付けていないというわけね。流行とかいう以前にずいぶん気分の乗らない事を言ってくれるわね、失礼な。私が流行になんて乗るわけがないじゃないの

違うわよ。流行になんてなるわけがないじゃないの、って言ったの。どうして私達が世間でブームになるのよ、そんな流行には絶対に乗れるわけがないわ