無人島に行けばどんな作家よりも創作活動が捗るかもしれない理由とは

そうね。海外にもたくさんの人が行ったんじゃないかしら。どこが一番人気なのかしらね

自由の女神とか、エッフェル塔とか、タージマハルとか、ピラミッドとか、パルテノン神殿とか、赤の広場とか、ノイシュバンシュタイン城とか、色んな場所から一番近くで購入出来るフライドポテトの味はどんなものなのかしら

普通に観光しても気付かない何かが見えてくるかもしれないじゃないの。既存の概念に捉われている人は嫌いよ。フライドポテトを一本かざすと自由の女神が見えなくなったりするかもしれないじゃないの

そうね。無人島以外だったら良いわよ

あらそう。でも無人島でフライドポテトを食べるのは至難の業じゃないの

その話がしたいなら最初からそう訊けば良いじゃないの。観光地の話なんてするからフライドポテトで頭がいっぱいになってしまうのよ

仕方ないからテーマの話をしましょう。無人島には行きたくないけれど、持って行く本の話くらいは出来るわ

平和な世界が突如として現れた魔王によって支配されようとしていて、自暴自棄になった人々も悪魔に姿を変えて大勢魔王の手先になってしまうわ。魔王はかつて神や人々によって異世界に葬られた強力な悪魔達を再び呼び寄せて、人々を完全に支配しようとするのよ。でも人々も魔王によって再び行き来が出来るようになった異世界から神を呼び寄せるの。神は人々を救う勇者の名前を告げて、ある小さな国の少年が勇者だと分かるのよ

ええ、少年は魔王の手下も手下、かなり下位の悪魔にやられてしまって、世界は魔王によって支配されるわ

何を言っているのか分からないわ。逆転なんて無いわよ。そこで物語は終わりだもの

知らないわよそんなの。他にはこんな本もあるわよ

とても貧しい家に生まれて、ずーっとひもじい想いをしてきた少年の話よ。両親はいつも喧嘩ばかりしていて、お金があれば皆が仲良くなると思った彼は、小さいうちから母親の内職を手伝ったり、新聞配達のバイトをしたりしてお金を稼ぐのよ。そしてもらった給料は全て両親にあげてしまうの

でもどれだけ身を粉にして働いても生活が全く向上しない事を不審に思った彼は、外に働きに出ている父親の後を尾行するの。すると、父親は彼の稼ぎをパチンコや競馬につぎこんでいたのよ。怒った彼がそれを問い詰めると、逆上した父親から勘当を言い渡されてしまうわ。母親に助けを求めても全く助けてくれず、彼はとうとう家を追い出されてしまうのよ

何よそれ。どうして勝手に結末を変えてしまうのよ。今話したところまでで物語は終わりよ

【世の中は甘くない。ドラマや小説や漫画のような事が起こると思ったら大間違いだ】と伝えているのよ。陳腐な感動ストーリーより余程役に立つと思うわ

知らないわよそんなの。二つ合わせて【超現実Ⅰ・Ⅱ】って事で良いんじゃないかしら

将来的にはそういう事もあるかもしれないわね。二冊とも私が無人島に行ったら書こうと思っている本よ

だから白紙の本を持って行って、無人島で書くのよ。人が書いた本を読むより遥かに楽しいわ

うるさいわね。修正するわよ

違うわよ。終世するわよ、って言ったの。無人島に一人きりなんて状況になったら、自分よりも悲惨な世界や人間がいる事でも想像しなければやってられないわ