ブログネタ:身近にある顔に見えるもの
ミッキー
たまに天井の木目が顔に見えたりするな
ミニー
引っぱたくわよ
ミッキー
何でだよ!叩かれるような事は言ってないぞ!
ミニー
うるさいわね。どうせ【ついにこの執念深い女は生霊として部屋に出没するようになってしまった。どうやって僕の部屋の木と仲良くなったのかは知らないが、あまり調子に乗ると一思いに燃やしてやるから覚悟しておけ。この燃やす前から既に前なのか後ろなのか分からない、燃えカスの木炭のように真っ黒な女め】と言おうと思ったんでしょう?あなたの言いたい事は何もかもお見通しよ
ミッキー
そんな事言うわけないだろ!ふと何かの染みとか模様とか汚れとかが顔に見えたりする事があるじゃないか!
ミニー
うるさいわね。声の大きさだけなら恐竜の顔でも近くにあるんじゃないかと思われてしまうわよ。というより何だって顔に見えるのが当たり前なんじゃないかしら
ミッキー
え?そうか?そんなに頻繁にある事でも無いと思うけどな
ミニー
あら、そうかしら。例えば【あ】という文字だって未知の生物の顔に見えるし、【い】という字だって紐状の生物が顔だけ切断されてしまったように見えるわ。同様に【う】という文字も……
ミッキー
ちょ、ちょっと待った。それって顔の表情じゃなくて、かなり遠目から見て顔の部分、って言ってるだけじゃないか。更に未知の生物の顔の形の話をされたら何でもアリになっちゃうぞ
ミニー
あらそう。未知の生物じゃなければ問題ないのね。だったらあなたが高速で顔を振りながらどんどん表情を変えていけば、一瞬だけ【あ】っぽい顔になる事もあるんじゃないかしら
ミッキー
何かが顔に見える話じゃなくて、顔が【あ】に見える話になっちゃってるぞ!似てるけど結構違うぞ!
ミニー
うるさいわね。般若のような顔をして何を興奮しているのかしら、腹立たしいわね。とにかく何かが顔に見えるというのは何かしらの意図があるんじゃないかしら
ミッキー
意図?どういう意味だ?
ミニー
あら、この世の全ての事象に意味があるとしたら、そんな風に染みや汚れがついた事にも何か意味があるに違いないわ。あなたに何か訴えたい事があるのよ
ミッキー
お、おい、それじゃ何だか幽霊とか妖怪とかが絡んでそうじゃないか。何だか気味が悪いぞ
ミニー
あらそう。恐らく【こんな木材になる前は何匹かクワガタが住んでいた木だったけれど、きっと樹液が美味しかったんだろう】とか【近くに生えていたクヌギちゃんは今も元気に立ち続けているだろうか。杉の野郎がちょっかいを出していたから心配だ】とか【明日は雨が降るな、何となく身体のしなり具合で分かる】とか、そういう事を訴えているんじゃないかしら
ミッキー
全然人の顔と関係ない内容じゃないか!わざわざ染みを作ってまで訴えるような内容じゃないぞ!
ミニー
うるさいわね。木なんて本来人間の言葉が分からないから突拍子もない事を言い出しても仕方がないじゃないの。木や壁や雲などが作る顔なんてそんな程度のものよ
ミッキー
そ、そっか。まぁ結局は気にするほどのものじゃない、ってカンジか
ミニー
ええ、そうね。夜中に顔が見えても全く気にする必要はないわよ。私が見ているだけだもの
ミッキー
えっ!?今何て言った!?
ミニー
うるさいわね。ただ染みが見ているだけ、って言ったの。何を取り乱しているのかしら
ミッキー
いや、違う言葉と聞き間違えてちょっとビックリして……って、染みは意志を持って誰かを見たりしないんじゃないのか!?
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