水着になった時に最も気になるパーツはどうやっても隠せない理由

あら、どういう事かしら

あらそう。要するに水に濡れても大丈夫な服を持っているかどうか訊いているのね。だったらたくさん持っているわよ。というより私が持っている服は全て水着じゃないかしら

うるさいわね。という事は水で出来た服の事を訊いているのかしら？ビショビショに濡れた全裸の私が街を歩いていたらあっと言う間に世界中の霊能者が集まってきて幽霊の存在を肯定し始めるでしょうね。こんな不安だらけの世の中だから目に見えない何かに頼りたい気持ちは分かるけれど、もう死んでしまった人が新たに生きている人に影響を与える事なんて出来ないわよ。だから皆必死になって生きている間に頑張るんじゃないの。何を考えているのかしら

うるさいわね。現時点で全裸としか思えなくても、いつか時代が変わればファッションになるかもしれないわ。既存の概念に捉われている人は嫌いよ

何をごにょごにょ彼女から海に行こうと誘われたので大喜びで期待して海に行くと彼女は全身ウェットスーツ姿で、もしかしてダイビングやサーフィンでも一緒にするのかと期待していたら、しばらく潜ってウニやアワビなどを獲り続けるから見張りをしていて欲しいと言われて、漁どころか密漁の手伝いをさせられてしまった男のようにつぶやいているのかしら、気持ち悪いわね。それで結局今日は何の話をしたいのかしら？会話の流れに乗れなくて何が何だかさっぱり分からないわ

あらそう。残念ながら持っていないわよ。どうせ見学だけで参加もしないでしょうから、小学でも中学でも水着は一度も買った事が無いわ。水でも世の中でも上手く泳げないヒレの無い魚みたいな女で悪かったわね

あら、それはどういう事かしら

あら、私はスタイルなんて全く良くないわよ。太り過ぎのビーチボールみたいなものだから水にもよく浮くんじゃないかしら。でもだからこそここは誰にも見せたくないわね

違うわよ。心は誰にも見せたくない、って言ったの。膨らませたビーチボールみたいに幸せ太りした心なんて誰にも見せられな……って、何を言わせるのかしら、みっともない

うるさいわね。あなたと二人で水着になっているなんて完全に浮かれている証拠じゃないの

しつこいわね。あなたの前で水着になったらビーチボールを見せているようなものじゃないの。って、何度もみっともない事を言わせないでちょうだい

あらそう。構わないわよ

……あらそう。仕方がないかもしれないわね

……うるさいわね。水着になるのはあなたに心を許している時だけとさっきから何度も言っているじゃないの