ミッキー
あっ、やっぱりハイジだ!おい、いつの間に上がったんだ!?
ハイジ
むっ?サンタ用の煙突も無いような家に住んでるクセにわけの分からない質問なんだよ。この家には地面に穴を掘ってそこから侵入する、という大昔の金庫破りみたいな使い古された方法しかないのかも。そうなのかも?違うかも
ミッキー
いや、思いっきり玄関に靴が脱いであったぞ。って、そういう意味じゃなくて、いつ来たんだ?
ハイジ
んー?ミッキーが誘った瞬間から私はただのハイジじゃなくて【ミッキーの家に招待されているハイジ】状態なんだよ。そういう点ではその時からもういつ来ても構わないのかも!
ミッキー
質問の答えになってないぞ……まぁ良いか。とにかく3人こうして集まったわけだからな。メリークリスマス!
ミニー
メリス
ハイジ
メリークリークリークリークリークリー……何回言ってもやっぱり終わらないのかも!?
ミッキー
……何故かどっちも以前に聞いたような挨拶だな……まぁ細かい事は抜きにして、今日はハイジに楽しんでもらおうと思って招待したんだ。心置きなく楽しんでいってくれ
ハイジ
むむむ、そうなると何だか楽しまなきゃいけないような圧力がとんでもないのかも。これは物凄い演技力が必要とされるんだよ。そうなのかも?そうに違いないのかも
ミッキー
いや、そんな無理やり楽しまなきゃならないくらいつまらなかったらはっきり言ってくれる方が嬉しいんだけど……よし、とにかくまずはプレゼント交換でもするか!
ミニー
あらそう。何だか最初からもう最大のイベントみたいな状況になっているけれど、既存のクリスマスパーティーの概念を打ち破るには良いかもしれないわね。尻切れどころかお腹の辺りから切れたトンボになったとしても、どうせ今日で終わってしまうクリスマスの名残を残さないためには必要なんじゃないかしら
ハイジ
そうかもそうかも。そうなのかも。日曜の夜が嫌だとか、休みが終わるのが寂しいとか言うけど、だったら最初から寂しくてつまらない休日を過ごせば良いんだよ。そうすれば学校や仕事が楽しみで仕方がなくなるのかも!そうなのかも?違うかも
ミッキー
何だか物凄い話をしてるけど、別にクリスマスの事をすぐに忘れたいから提案したわけじゃないぞ
ミニー
うるさいわね。要するに他に何も準備しているイベントが無いからプレゼント交換をするしかないんでしょう?あなたの事は何もかもお見通しよ
ミッキー
うっ、まぁ確かにそうなんだけど……
ハイジ
ふむふむふむむ。だったら私からはこれをプレゼントするんだよ。ぴろりろりんっ!
ミッキー
お、ありがとう。早速開けても良いか?
ハイジ
それはもちろんそうなんだよ。開けなきゃ何にもならないのかも?でも既にもらったミッキーのものだから、その袋のままというのも選択肢の一つなんだよ
ミッキー
いや、まさかそういうわけには……えーと、ん?色々入ってるみたいだな…………これは一体……?
ミニー
あら、私の袋にも似たようなものが入っているわね。これは何かしら?
ハイジ
んー?それは私のオススメの本とか、手袋とかお菓子とか、他には手紙なども入っているのかも?誰がやったのか知らないけど、確かにそんな中身のはずなんだよ
ミッキー
またそんな他人事みたいに……って、おい、この本、途中で破れちゃってるじゃないか。手袋も片方しか入ってないし、お菓子のクッキーも真っ二つに割れたようなクッキーばかりだぞ。って事はもしかして……?
ハイジ
そうかもそうかも。ミニーの方にも半分入ってるんだよ。要するに二人が真っ二つになるというメッセージが……
ミッキー
こら!縁起が悪過ぎるぞ!ホントにそれがお前の望んでる事なのか!?
ハイジ
ぴー!何だか気まずそうな事態になったから二人からプレゼントを強奪して退散しとくべきかも!ささっ!ぴゅぴゅぴゅっ!メリークリークリークリー……
ミッキー
おい待て!本気で帰っちゃうのか!?……うーん、まさかこんな衝撃的な事をするとは……ホントに僕達が別れるのがハイジの希望なのかな……
ミニー
さぁ、どうかしらね。まんまと放り投げられたんじゃないかしら
ミッキー
ううっ、そうだな。何だか友達付き合いすらどうでも良いような振る舞いで……
ミニー
違うわよ。まんまと他に逃げられた、って言ったの
ミッキー
え?どういう事だ?
ミニー
あら、ハイジはハイジで、地元の友達からもパーティーに呼ばれていたのよ。だから私達がハイジを誘ったりせずに二人きりで過ごすように先日から仕向けようとしていたわけね。それをあなたがハイジを誘ったりするから断れなくなってしまったんじゃないかしら
ミッキー
な、なるほど、そうだったのか。っていうかどこでそんなハイジの地元の情報を入手したんだ……?まぁでもそういう事情があるからこんな妙なプレゼントをして強引に逃げる状況を作ったわけか
ミニー
あら、妙でもないわよ。本も手袋もお菓子も手紙も、あなたと私が揃わなければ使い物にならないものね。って、あまりみっともない説明をさせないでちょうだい、みっともないわね
ミッキー
ううっ、ずっと別れずにいて欲しい、って意味だったのか……それなのにわざわざ逆の意味の説明をしたりして、全く捻くれてるというか……まぁ厳密に言うとお菓子は半分でも使い道があるけどな。それにしても、ミニーの洞察力が無ければ思いっきり誤解されかねない行動だと思うぞ
ミニー
ええ、そうね。それだけ信頼されているんじゃないかしら
ミッキー
なるほど。例え誤解されたとしてもこれくらいで壊れる友情じゃない、ってハイジは思ってくれてるわけか
ミニー
ええ、そうね。あなたはどうだか分からないけれど、私はそうなんじゃないかしら
ミッキー
こら!僕だってハイジとは友達だぞ!ちょっと疑っちゃったけど……って、それにしても手渡す暇もなくプレゼントを持って行っちゃったな。まぁ本人に渡すつもりだったから別に構わないんだけどさ。ちなみにお前は何をあげようと思ったんだ?
ミニー
あら、手紙を書いた程度の事よ。お金を掛けたり時間を掛けたりするのだけがプレゼントではないものね。字を書ければ良いのよ
ミッキー
なるほど。まぁ僕も大差ないカンジだけどさ。というわけでこれ、僕からの手紙なんだけど……
ミニー
あらそう。それなら私の手紙も読んだらどうかしら。あなたのもハイジのも全く同じ文章よ
ミッキー
えっ!?そんなのありえるのか!?ど、どんな文章なんだろう……えーと、【あなたの事は全てお見通しよ。好きにしたら良いんじゃないかしら】何だこれは?
ミニー
あら、先程から言っているように、ハイジも少しは私達に対する態度を気にしているかもしれないじゃないの。これで心置きなく昔からの友達と楽しめるんじゃないかしら
ミッキー
そっか。確かにお前にそう言ってもらえたら何も心配いらないからな。まぁハイジに対してはそれで伝わるとして、今度は僕への手紙の意味を知りたいんだけど……
ミニー
どうせあなたはわけの分からない手紙を書いたんでしょう?みっともない。長さから内容に至るまで何もかも全てお見通しよ
ミッキー
うっ、まぁそう言われるとたぶん大体想像通りの内容なのかもしれないな。今後もずっと一緒にいたいという想いを書いたんだ
ミニー
………………
ミッキー
ど、どうしたんだ?突然黙っ……あ、そうか、言いたい事は既に手紙に書いてあるわけか……こんな日でもやっぱり素直じゃないというか、でもありがとう
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