ブログネタ:母の日の思い出を教えて?
ミッキー
今日は母の日だな
ミニー
ええ、そうね。それがどうかしたのかしら
ミッキー
いや、何かあげるものを買いに行こうかな、と思って
ミニー
あらそう。今まで苦労を掛けて育ててくれている事を帳消しにする権利を買いに行きたいのね。困った時にはお金や物で解決するのがあなたの両親の教えだったとは驚いてしまうわね
ミッキー
別にそういう事は無いぞ!見返りを求めるんじゃなくて、日頃の感謝を伝えたいだけじゃないか
ミニー
うるさいわね。もう充分したからこれ以上必要ないと思うわ
ミッキー
え?特に何もしてないぞ。何でそう思うんだ?
ミニー
あら、子供なんて生まれてきただけでもう両親への恩返しは済んでいるのよ。両親にとってその瞬間よりも幸せな事なんてあるかしら
ミッキー
な、なるほど、まぁそう思ってくれてるものなのかもしれないけど、その時の事なんて僕は記憶に無いし……
ミニー
……特に育てば育つほど、不幸が人の形をしたような目も当てられないろくでなしに……
ミッキー
こら!聞こえてるぞ!不幸の象徴みたいに言うなんて酷いじゃないか!
ミニー
うるさいわね。大きな声を出せば事実が逃げ出すと思ったら大間違いよ。そもそもあなたに言ったわけではなくて、人類全てに当てはまる事を言っていただけよ。際限の無い夢と無限の希望に彩られながら生まれてきた赤ちゃんは、その夢と希望を一つずつ打ち砕きながら成長して、最終的にたった一つの道に進んでいくのよ。将来は総理大臣とか、将来は歴史に名を残す偉大な人物に、と思っていた両親の無念といったらもう表現しきれないくらいでしょうね
ミッキー
うっ、生まれたばかりでそこまで期待されると困るけど……
ミニー
……しかも普通に輪を掛けた平凡でありきたりな人間に育ったりして……
ミッキー
おい!聞こえてるぞ!今のは明らかに僕に対して言ってたじゃないか!
ミニー
うるさいわね。普通に平凡に生きるというのは意外と難しい事なのよ。子供が反抗的だったり、親を恨んだり、逆に親しくなり過ぎてお互い離れられなくなったり、そんな極端な家族にならなくて良かったじゃないの
ミッキー
……とてもそう思ってるとは思えない口振りだったけど……と、とにかく、僕には世界を引っ繰り返す人間になるような才能は無いだろうから、今後も心配や迷惑を掛けたりすると思うんだ。そういう想いを込めて母の日に感謝を伝えようと思ってるんだぞ
ミニー
しつこいわね。今あなたからカーネーションの花束なんてもらったら、そのまま殴り合いになってしまうんじゃないかしら。お父さんにゴングを渡しておかないといつ辞めたら良いのか分からなくなってしまうわよ。しかもまさか私がレフリーじゃないでしょうね。悪役に味方するタイプのレフリーだから気をつけてちょうだい
ミッキー
どうして家族で因縁のレスラー同士のタイトルマッチみたいな事をしなきゃならないんだ!しかもお母さんが悪役みたいになってるし!
ミニー
うるさいわね。冗談よ。あなたみたいな子供を生み落とす両親にこんなシャレが通じるはずがないじゃないの。結局何を買うつもりなのかしら?
ミッキー
何か家族皆でバカにされたような気がするんだけどな……ちなみにお前は何かあげたりしないのか?
ミニー
さぁ、どうかしらね。私のショータイムでも見せようかしら。あなたがいないと成立しないから家に来て手伝ってちょうだい
ミッキー
え?まぁ構わないけど……マジックショーの助手でもするのか?母の日にショータイムって、どんな家族なんだ、一体……
ミニー
違うわよ。私の将来でも見せようかしら、って言ったの。私が一生幸せに生きていけると知ったら少しは喜んでくれるんじゃないかしら
ミッキー
えっ!?そ、それで僕がいないと成立しないって……そ、そっか。じゃぁ僕もお母さんに同じものをあげようかな。お前の家に行った後で僕の家にも来てくれるか?
ミニー
あらそう。花束で殴り合いをするのね。ヒールになり切れるか心配だわ
ミッキー
どうしてお前の家では僕を紹介して、僕の家では女子プロレスみたいになるんだ!
ミニー
違うわよ。腹を割った馴れ合いをするのね、気に入られるか心配だわ、って言ったの
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