同じ趣味を持っている人ほど話が全く合わない可能性について

まぁ、何かしら、突然、気持ち悪いわね。突然妙な事を言うのがあなたの趣味なのかしら？とても私とは合わないわね。コーヒー本来の味を味わうにはブラックが一番だ、などと言っている人と同じくらい合わないんじゃないかしら。コーヒー本来の味なんて、木の実としてなっている状態を食べた時だけに決まっているじゃないの。実ではなくて種を取って焼いて焦がして、お湯で成分を外に出して、それのどこが本来の味なのかしらね。世界中のコーヒーが苦々しい思いをして黒い感情を抱いているに違いないわ。反省してちょうだい

うるさいわね。そうやって自分の価値観で正論と判断する事を押し付けて話を進めるのがあなたの趣味なのかしら？とても私とは合わないわね。オリンピックは出場するだけで充分、などと言っている人と同じくらい合わないんじゃないかしら。そもそもオリンピックに出場するには、自分の国の選考会でトップの成績を収めて国の代表を勝ち取らなければならないのよ。そんな勝つために出来る事を何もかもやりつくす努力を惜しまない選手達が、オリンピックになった途端に【出場だけで充分】などと思うはずが無いじゃないの。出場した以上は真剣に勝ちを目指しているに決まっているわ。反省してちょうだい

あらそう。私の話はあなたの趣味と合わなかったのかしら。二度と私に近寄らないでちょうだい

うるさいわね。そうやって私の言う事に対して何でも反対するのがあなたの趣味なのかしら？今後ずっと私には全く関わらないようにしてちょうだい

あら、何の事かしら。私は私の言いたい事を言っているだけよ、腹立たしいわね

……何をごにょごにょ初対面の人に気軽に趣味を訊いたら突然相手のスイッチが入ってしまって、カーテンやすだれやブラインドの歴史について、素材や色による耐熱、遮光、視覚効果などの知識を交えて１０時間以上も聞かされ続ける羽目になった男のようにつぶやいているのかしら、気持ち悪いわね。それで結局今日は何について話したいのかしら？何が何だかさっぱりわからないわ

さぁ、どうかしらね。話は弾むかもしれないけれど、好きな理由や一番好きな部分は異なるかもしれないわ。そうなるとかえってお互いの感性が許せなくなるんじゃないかしら。あまりにも好きで詳しくなるとかえってこだわり過ぎて視野が狭くなったりほんのちょっとの例外が許せなくなったりするのよ

ええ、そうね。例えば会話が趣味だとしても、あなたと私では全く理由が異なるからこうして毎回言い争いになっているんじゃないかしら。二度と私に近寄らないでちょうだい

あら、そんなの決まってるじゃないの。私は暇つぶしよ

……違うわよ。しらみつぶしよ、って言ったの。あなたが話題の事をどう思っているのかを理解するためよ

違うわよ。あなたが私の事をどう想っているのか……って、何を言わせるのかしら、みっともない。どれだけ否定しても怒らせても私と会話したりして、何を考えているのかしら

………………

………………

うるさいわね。私なんかをいつも喜ばせたりして、本当に悪趣味ね