ミッキー
そっちかよ!
ミニー
何よ突然、気持ち悪いわね
ミッキー
いや、たまには趣向を変えて、オチから先に言ったらどうかと思って
ミニー
アイディアは否定しないけれど、あなたの言ってるのはオチじゃなくて締めのツッコミじゃないかしら
ミッキー
うっ、まぁ確かに。やっぱり一人でやってる事じゃないから難しかったか
ミニー
まぁ、私のせいでこんな締まらない展開になったと言いたいのね。締めてやろうかしら
ミッキー
締めるって、首か?それとも制裁を加えるという意味か?
ミニー
違うわよ。決めてやろうかしら。って言ったの。せめて冒頭のあなたのツッコミが無駄にならないようにするわよ
ミッキー
え?そんな事出来るのか?
ミニー
私を誰だと思ってるのかしら。恐怖の筆談漫談師の腕を甘く見ないでちょうだい
ミッキー
何だそりゃ。いつもは会話師って言ってるクセに。別に僕達がしてるのは筆談でも漫談でもないじゃないか
ミニー
そうね。漫談だなんて、私がわざと面白くしようとしていると思われたら心外だわ。で、結局今日は一体何なのかしら?
ミッキー
せっかくだからこのまま筆談について話してみるか
ミニー
あらそう。これは強いわよね。普通に話すよりもよほど気持ちが伝わると思うわ。普通の会話では瞬発力が重要で、瞬間的に浮かんだ言葉で人の心を打つには相当センスが必要なのよ。筆談なら間を置いて考えながら書けるわ。結果的に、ああこの子は他の子よりも賢い子だな。素敵な言葉を持っているな。あれっ、よく見たら文字も顔も可愛いな。あれっ、文章も身体もセクシーだな。そそるな。眼福だな。心福でもあるし、脳福でもあるな。ああ、どういう事だ。好きで好きでたまらないな。恋だな。恋に欲情はつき物だな
ミッキー
おい、ちょっと落ち着いてくれ。途中までは納得出来るような事を言ってたのに
ミニー
あら、どういう事かしら
ミッキー
いや、そのままの意味だろう。序盤は良かったのに、終盤は何か筆談とかどうでも良さそうな煩悩の塊みたいな人格に変わってたぞ
ミニー
序盤は私の意見で、終盤はあなたの意見を言ったのよ。煩悩の塊のクセに何を偉そうに
ミッキー
えっ、僕はそんな風に思われてたのか
ミニー
ええ、そうよ。いつもいつも私の事をジロジロ見てるじゃないの。あなたの事は片時も目を離さずにずっと見てるから何でもお見通しよ
ミッキー
じゃぁいつもジロジロ見てるのはお前の方じゃないか
ミニー
私はジロジロじゃないわよ。しかと見てるわ
ミッキー
言い方の違いだけだろ!
ミニー
うるさいわね。シングルマザーにするわよ
ミッキー
いや僕は妊娠も出産もマザーになる事も出来ないんだけど……
ミニー
違うわよ。【死んでるべさ】にするわよ、って言ったの。どこかで野垂れ死んで、どうやら第一発見者は北海道の人のようね。可哀想に、きっと凍死したんだわ
ミッキー
うーん、その死に方は嫌だなぁ
ミニー
だから煩悩の塊だと認めた方が良いわよ
ミッキー
でもそんな誰彼構わず欲情するわけじゃないぞ
ミニー
まぁ、失礼な
ミッキー
え?何で?悪い事じゃないんじゃないの?
ミニー
あなたは私でしか欲情しないという事でしょう?
ミッキー
うっ、うん。そうだけど……いや、でも、ずっと変な気持ちになってるわけじゃないぞ?
ミニー
私を見て欲情していない時間があるなんてホントに失礼ね
ミッキー
そっちかよ!
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