「帰り道は遠回りしたくなる」MVを本気で小説化してみた:乃木坂46西野七瀬卒業に捧ぐ

      2019/05/11

どうも公認会話士です。

11月14日発売の「帰り道は遠回りしたくなる」を最後に、ついに乃木坂46の中心的存在である西野七瀬さんが卒業する事になりました。
乃木坂46というグループはこれで一区切りなのかな、と勝手に感じてます。
第1章が終わり、これからは第2章、みたいな。
私はずっと生駒ちゃんのファンでしたが、乃木坂46というグループは「西野七瀬と共に成長するグループ」という印象が凄く強かったので、そう思わずにはいられません。

さて、先日この曲のMVが公開された事で、思わずまた小説化してしまいました。
内容がパラレルワールドっぽいので、二つの世界が同時進行する構造にしようかとも思いましたが、あまり長くなると読む人も大変だと思って辞めておきました。

↓ここから決まり文句↓

あくまで私が映像を観て解釈した内容になってますので、「思ったのと違う!」という方がいたらごめんなさい。
それと乃木坂46の関係者の方、こうした文章に問題があるようならばすぐに削除しますので、その際はご連絡ください。

動画を観てから小説を読むのも、小説を読んでから動画を観るのも、あなたの自由です!

では、お楽しみください!

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プロローグ

「もしあの時、ああしていたら――」

私はよくそんな事を考える。

それは進学だったり、もしくは就職だったり……。
そんな誰の人生にも分け隔てなく訪れる大きな分かれ道なら、きっと誰もが考えた事があるだろう。

あの時別の道に進んでいたら、一体どうなっていたのか――と。

その想像は楽しくもあり、同時に怖くもある。
別の道に進んだ結果が今より素敵な人生だったとしたら、それはとても怖い事だ。
やり直したくてもやり直せない。
進んだ道は引き返せない。
それが人生だから。

更に私は、もっと些細な分かれ道についてもよく考える。

例えば入学式の日、前の席の子に勇気を持って話し掛けなければ、私は引き篭もりだったかもしれない。
例えばコンビニで漫画雑誌を買わずにお弁当を買っていたら、私は絵を描かずに料理に打ち込んでいたかもしれない。
例えば歌番組ではなくバラエティ番組を観たとしたら、私はアイドルではなく芸人を目指したかもしれない。

人生はそんな、小さな小さな分かれ道の積み重ね。
その瞬間は小さな分かれ道に思えても、結果が大きく変わる可能性があるから油断出来ない。

誰にでもいくつか経験があるはずだ。

あの時ああしていたら、こんな事にはならなかったのに――って。

そんな経験は出来たらしたくないものだ。
いつだって後悔ではない正解の道を選びたい。
今まで私が進んできた道は、果たして正しかったのだろうか……?
もし違う道に進んでいたら、一体どうなっていたのだろうか?

例えばあの日、私がバスに乗り遅れていなければ――。

私は今、アイドルグループに所属している。

それはそれは人気のある国民的なアイドルグループで、しかも私はグループの中心的な役割を担っている。

でも、もちろん最初からそうだったわけじゃない。
最初は他のメンバーの影に隠れていたけど、いつしか私は皆の中心で歌うようになっていた。

そもそも私は人見知りで、目立つ事が苦手なタイプだった。
声も小さいし、ダンスも決して得意ではない。
ぶりっこなんて出来ないし、表情も豊かじゃない。
アイドルなんて向いてないと分かってたけど、それでもアイドルグループのオーディションがある事を知った時、何となく面白いなと思って応募してみたんだ。
何故受かったのか、自分でも理由は分からなかった。

周囲には明確にアイドルになりたいという目標を持っていた子もいたし、学校から逃げたかったという子や、周囲の人に勧められてオーディションを受けた子や、学費や生活費の為にアイドルになりたいと思っていた子までいた。

そんな個性的な子達は仲間であると同時にライバルでもあり、1曲ごとにポジションが変わっていく。
センターや最前列ならば自然と目立つし、後ろの列だと目立てない。
ましてや選抜メンバーに選ばれずにアンダーメンバーになってしまうと、仕事すらほとんど与えられない。

負けたくない。

私の心の中に眠っていた競争心が目を覚ました。
それを最も強く感じたのは、今までいた前の列から後ろの列に下げられてしまった時だ。
受験のために活動休止していたメンバーが戻ってきた時、私はポジションを奪われてしまったのだ。
頑張って活動し続けてきたのに、何も活動してなかった子に負けた事が悔しくて、その子との間に溝が出来てしまった。
会話する事も出来なくて、素直に「おかえり」って言えるまで1年も掛かってしまった。

そんな切磋琢磨を繰り返していくうちにいつしか私達は成長し、押しも押されもせぬ人気アイドルグループの地位を確立した。
人気のあるアイドルグループと消えていくアイドルグループ。
その違いは私にはよく分からない。
ただ私達は、自分達がする事を信じて進んできただけだ。
グループとしての目標と、個人としての目標。
そこを目指してただひたすらに、闇雲に、盲目的に。
これが最短距離だと思う分かれ道を突き進んできた。

そうして目標を達成した私は今、このグループから卒業しようとしている――。

私は近々、このグループから卒業する。

新たな目標を見付けて過去に卒業していったメンバーを何人も送り出してきたけど、やっぱりその都度悲しかったし寂しかったし、喪失感も大きかった。
フォーメーションや仕事で抜けた穴を残った皆で埋めるのも大変だった。
メンバーは仲間であると同時にライバルでもあり、今はもうかけがえのない友達でもある。
だから決断するのは容易ではなかった。

でも卒業していったメンバーは皆新たな目標を前に輝いていて、一番近くで送り出す事が出来るのが嬉しくもあった。

私にとって最後となる曲のダンス練習。
成長した皆がどんどん振りを覚えていく中、私は心ここにあらずで、どうも練習に身が入らなかった。
身体が思うように動かず、周囲からどんどん遅れていく。

センターの私がこんな状態では皆に迷惑が掛かると思い、私は練習場を後にして街へと繰り出した。

こんな時によく来るのが、絵画用品を多く扱う文具店。
その中の喫茶スペースで、何も考えずに、気の向くまま、本能の赴くまま、手の動くままに絵を描く。

気が付くとスケッチブックには一つの絵が完成していた。
描かれていたのは、あの日割れてしまったメガネだった。

……。
…………。
………………。

「戻らなきゃ」

ふと顔がほころんだ。
私がいるべきなのはここではない。
皆が待つあの場所へ、中心へ、戻らなきゃ。

「きゃっ!」

文具店を出た瞬間、一人の女性とぶつかった。
私が落した鉛筆を拾って差し出してきた。
ちらりと顔を見ると、さっき私が描いたのと同じような丸メガネを掛けている。
このお店に来るという事は、美大生だろうか。
会釈をして鉛筆を受け取り、練習場へと歩を進めた。

帰りの道中、私はまた分かれ道について考え始めた。

あの日、バスに乗り遅れたあの日、メガネが落ちなければ、レンズが割れなければ、私はオーディションの事なんて知らずに美大に進学して、今頃はアイドルではなく名も無き一般人になっていたかもしれない。
デッサンが課題なのに変なキャラクターの絵を描いて友達にいじられたり、公園で友達とバドミントンをしたり、カラオケに行って店員さんまで巻き込んで盛り上がったり、友達と一緒に今私がいるアイドルグループのライブを観に行ったりしたかもしれない。
小さな分かれ道をきっかけに、私とさっきの女性の人生が逆になっていたかもしれない。

それはそれで楽しかったかもしれない。
アイドルグループのメンバーではない、全く別の目標を持つ私――。

そんな事を考えながら、練習場のドアを開ける――。

「おかえり」

いつか私から溝を作ってしまった子が、真っ先に笑顔で声を掛けてくれた。

真っ直ぐ戻ってきて良かった。
美大生の私を想像するのが楽しかったから、つい帰り道は遠回りしたくなったけど、分かれ道の選択を間違えなくて良かった。

エピローグ

今日は卒業ライブの日。

ついにメンバーとしての最後の時間となる。

会場は超満員で、多くのファンが泣いたり笑ったりして私に声援を送ってくれる。
私も精いっぱいの笑顔で、一人でも多くのファンの人生を考えようとした。

私は決して特別な存在じゃない。
ほんの些細な分かれ道で、会場にいる誰の人生と逆になっていたとしても、全く不思議ではないんだ。
私は客席にいて、ステージにいるあなたを応援していたかもしれない。

新たな目標を見付けた私は今日でこのステージから降りるけど、サヨナラは言わないよ。
私にはもう少しの夢があって、別の道でどう光合成出来るか試したくなったんだ。
ひとりよがりかもしれないけど、まだ私の道はつづく。

代わりに一言だけ。
私が今日このステージのセンターに立つまでの道を創り上げてくれた、地球上の全ての人達へ――

「アリガト」

分かれ道も別れ道も回り道も、ドンと来い。
私は必ず乗り越えられる。
だって私達はずっと――

坂道を上り続けてきたんだから――。

終わり

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